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2011年11月28日 行政情報

社会保障・税一体改革における介護保険制度見直しや「提言型政策仕分け」

 6月に政府・与党社会保障改革本部で決定された「社会保障・税一体改革成案」を受けて、社会保障審議会介護保険部会が再開されました。第38回(10月13日)から第41回(11月24日)まで4回にわたり議論が行われ、「社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関するこれまでの議論の整理」として一応の議論の整理が行われました。

 来年に実施可能な制度改正項目から順次具体化していくことを求めるとともに、引き続き第6期の介護保険事業計画での施行を念頭に置いた制度見直しを検討を進めていくとされています。具体的な論点と実施可能性(本「議論の整理」の文言から、特定協事務局において◎、○、△の記号を付記)については、以下のとおりです。

I 費用負担の能力に応じた不安の要素強化と低所得者への配慮
 (1)1号保険料の低所得者保険料軽減強化
   ⇒◎全般的に肯定的な意見
 (2)介護納付金の総報酬割導入
   ⇒○賛成意見多いが、強い反対意見あり

II 保険給付の重点化
 (1)要支援に対する給付(利用者負担割合の引上げ)
    ⇒△賛否両論、さらに検討
 (2)ケアマネジメント(利用者負担の導入) 
    ⇒△賛否両論、さらに検討
 (3)一定以上の所得がある者に対する給付(2割負担)
    ⇒○反対意見あるも、やむを得ないの意見多数
 (4)多床室の給付範囲の見直し
    ⇒△賛否両論
 (5)補足給付における資産等の勘案
      ⇒○肯定的意見多数、実務的な検討を開始
 (6)介護施設の重点化(居宅支給限度額を上回る部分の負担割合の引上げ)
    ⇒△賛否両論

III 介護職員の処遇改善
  「処遇改善交付金維持」<「介護報酬に組み入れる」
  (その場合には情報公表等)
  「介護事業者における自主的な努力により行われるべき」の意見があった。

  詳しくは、以下の「社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関するこれまでの議論の整理(案)」をご覧ください。(11月24日の第41回介護保険部会で配布されたもの。同日の意見を踏まえて、今後修正があります。)

 11月30日付けで「社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関するこれまでの議論の整理」が取りまとめられましたので、お知らせします。〔12月5日加筆〕

 また、11月22日には、行政刷新会議による提言型政策仕分けにおいて、「介護サービスの機能強化と効率化・重点化」が議題にあがりました。その評価結果は、以下のとおりです。

  • 現役並みの所得がある者については、世代内の公平な支え合いの観点、医療保険とのバランスを考慮し、負担割合を見直すべき。
  • あわせて、65歳以上の低所得者に対する保険料軽減策を強化すべき。
  • また、軽度の対象者に対する生活支援については、自立を促す観点で保険給付のあり方を見直すべき。その際、重度化を予防する他の有効な手段の拡充についても合わせて検討すること。
  • 介護サービスについては、基本的には、施設中心から在宅介護中心に移行すべき。そのために、介護保険サービスとしっかり連携した良質な高齢者住宅を普及させるべき。
  • 介護職員の処遇改善については、一時的な交付金よりも、介護報酬の中で対応すべき。あわせて、事業者の内部留保がある場合にはその活用を行うべき。これに関し、事業者の内部留保のデータやそれが適切な水準であるかどうかについて、介護報酬改定前までに行政刷新会議に報告すること。なお、処遇改善のために介護報酬を加算する場合には、現に処遇改善につながる仕組みを整備すること。
  • サラリーマン(40〜64歳)の介護保険料については、世代内の公平な支え合いの観点から、所得に応じた拠出(総報酬割)を医療保険と同様にまずは一部導入すべき。
  • さらに今後、高齢者の介護保険料を軽減し、所得に応じた拠出(総報酬割)を全部導入することについて検討すべき。

 今後、介護保険部会の議論の整理、提言型政策仕分けの結果を踏まえて、政府・与党として改革案を取りまとめ、法律改正を実施していくことになります。特に、一定の所得のある利用者の負担割合を1割から2割などに引き上げられる可能性があり、十分注意が必要と考えておりますので、今後も、随時、情報提供いたします。