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2002年4月22日

社会保障審議会介護給付費分科会事業者団体ヒアリング意見陳述

 社会保障審議会介護給付費分科会では4月8日と22日の2回に分けて事業者団体からの公式ヒアリングが行われました。ヒアリングを希望する43団体中、特定協を含む11団体が対象として選定され、特定協は22日の第8回分科会において、意見陳述と質疑応答を行いました。

 

 この事業者団体ヒアリングは、団体の代表を分科会委員として送り込めていない業界にとっては、その意見を分科会に対して公式に伝えることができる唯一の機会です。特定協も、昨秋に会員の皆様方から頂戴した基礎データを活用し、入念な準備の上でこの場に臨みました。

 

 意見陳述は、以下の2つの論点を中心に行いました。

 

1. 在宅の支給限度額との格差が大きすぎる

 現行の特定施設報酬の水準は、介護保険施設は言うに及ばず、在宅の支給限度額と比べてかなり低い水準に抑えられています。

 

 特定施設報酬が「居宅サービス費」に区分されていることからも分かるように、特定施設のベースとなっている有料老人ホームやケアハウスは基本的に「居宅」ですから、訪問介護事業所を併設する形を取って、在宅の支給限度額いっぱいまで介護報酬の請求を行うことも制度上可能です。

 

 したがって、特定施設報酬がこのように低い水準に据え置かれたままであれば、せっかく比較的低価格のパッケージ報酬である特定施設報酬を創設したにもかかわらず、多くの施設が訪問介護事業所併設型に流れてしまい、結局介護保険財政を悪化させてしまうことにもなりかねません。

 

  安定的な介護保険財政運営を考える上でも、特定施設報酬を引き上げて、訪問介護事業所併設型のホームを特定施設へと誘導していくことが必要だと考えられます。

 

2. 食事の「賄い費」を保険給付するべきである

 また、現行の介護保険制度においては、在宅生活者であれば訪問介護における家事援助サービスの一環、あるいは通所系サービスにおける食事加算という形で、また、施設入所者であれば基本食事サービス費という形で、それぞれ調理に要する人件費等(以下「賄い費」と言います。)が保険給付されています。

 

 他方、特定施設において入居者が受ける食事サービスの賄い費については、保険給付は一切行われず、全額自己負担で賄われています。 他の在宅生活者や施設入所者との公平の観点から、特定施設の入居者についても、賄い費を保険給付するべきだと考えられます。

 

 事業者団体ヒアリングにおける特定協からの意見陳述は、概ね好意的に受け止められた様子ではありますが、委員の関心の薄さは否定できないところであり、特定協としては、今後とも公式、非公式を問わず、意見表明の機会を持ち続けていく予定です。