ホーム 活動報告 平成15年度 第2回 定例研究会(大阪会場)

2003年12月12日

平成15年度 第2回 定例研究会(大阪会場)

グループディスカッションの様子。
男性、女性、幅広い年齢層の方々に
ご参加いただきました。

 平成15年12月12日(金)チサンホテル新大阪「4階大会議室」において、第2回定例研究会を開催しました。ご多忙中にも関わらず48名の方々にご出席いただきました。

 

 はじめに、当協議会の事務局長沼田より現在の協議会の活動内容およびスタッフ紹介、研究会において本音の部分で意見交換をしていただき研究会終了後も会員同士での連絡ができるようになっていただければという挨拶がありました。

 

 内容につきましては、皆様からのアンケートをもとに課題を採り上げ、東京会場同様4つのテーマで、各テーマ2グループずつ計8グループに分かれてディスカッション・発表が行われました。

 

 ディスカッションは施設を含めた自己紹介から始まり、各自が現時点での施設の状況や抱えている課題を出し合い、それぞれに対しての積極的な意見交換がされました。最後にまとめたものを各グループの進行役の方に発表していただきました。

第2回定例研究会 ディスカッション・テーマ

  1. スタッフ採用・導入研修・モチベーション向上について
  2. ご入居者・ご家族への対応について
  3. 施設でのアクティビティについて
  4. 介護保険の給付対象とならない介護サービスについて

 

 話し合われた内容を各テーマごとに簡単にご紹介します。この他にも、各施設におけるさまざまな具体例が挙げられました。

 

1.「スタッフ採用・導入研修・モチベーション向上について」

I スタッフの採用

1) 施設側が求める人材像をはっきり明示して相互が理解した上で仕事をしてもらう。

2) 職場で働く熱意・意欲、動機付の確認を行う。

3) 資格奨励・時給の見直しを行う事でパートさんの定着率を高めていく。

II 導入研修

1) 施設のマニュアルが全職員に役立っているかどうか。

2) 研修奨励を行い、それぞれの職域にその研修結果を報告・発表する。

3) 個々の目標・設定・管理方式を導入している。

III モチベーションの向上

1) 福利厚生・親睦会を行う。

2) 長年勤続や優秀な職員に対し表彰を行う。

他グループで話し合われた
内容も参考になります。

発表者、書記の連携により
充実した発表内容となりました。

2.「ご入居者・ご家族への対応について」

I 施設内事故について

1) ヒヤリ・ハット報告は殆どの施設で記入できている。一度起きた事についてはその都度意識付けをしていく必要がある。

2) 家族への対応については、状態の結果が出てから報告する施設と、転倒事故が起きた時にすぐに連絡する施設といろいろある。

3) 事故報告書を沢山書いて行政に提出している施設は「悪い施設」というイメージが意識付けされており、その意識から変えてほしい。

4) 「こういう事が考えられるのではないか、予測されるのではないか」という事をプランに入れていく。また、御家族との内容的な事に対しての理解の相違がない様に、細かくしていく必要がある。

5) 介護職員が対応している時に起こした事故に対しては悪い場合もあるが、一人で転倒された場合も施設側が全面的に悪いのか、特定の責任の所在がどこまでなのか、行政で統一していってほしい。

II 導入研修

1) あまり連絡をとらない御家族に対して入居者のADL状態に対し誤解がある場合がある。

2) 施設の情報誌や家族レターを請求書の中に入れている。

3) 食堂やレクリエーションの様子をホームページからリアルタイムで御家族だけが見る事ができるようにしている。

自社資料を使用して話をされた方
もいらっしゃいました。

2時間という短い時間の中、
貴重なご意見が多数
飛び交っていたようです。

3.「施設でのアクティビティについて」

I 社会資源の利用について

1) 消防署の訓練大会へ参加したり警察の鼓笛隊に来て頂いている。

II 地域との交流について

1) コーラスグループ等のボランティアに来てもらっている。施設側から児童会へ行って、お茶会やペタンクを行いクリスマス会には来て頂く。

2) イベント時のスタッフとして、パートさん・ボランティアさんをお願いする。

3) 近辺にある介護福祉士の学校よりボランティアで来て頂き、その時の様子を見て採用も決めるという施設もある。

III 外出について

1) 施設によっては月2回「日帰り旅行」を計画し、行き先は参加者の要望に答え実施する。

IV 夜間入浴について

1) 13時~23時まで長時間入浴できるという施設もあるが、人員等難しいという意見も出た。

V レクリエーションについて

1) 各入居者のADLの差により一緒にレクを行う事が難しい。

熱の入った発表に、参加者全員
聞き入っていました。

この会の参加をきっかけに、
会員同士の交流を
深めて頂ければ幸いです。

4.「介護保険の給付対象とならない介護サービスについて」

I 介護一時金・生活介護支援一時金について

1) 「上乗せ・横出し」費用を一時金として頂いている場合と、一時金ではなく月額で払われている施設がある。

II 介護報酬によって提供されるサービスというのは、その人が生活をしていく上で必要なサービス・介護であったり生活支援であったりする部分で、その人が最低限生活をしていくのみ必要なサービスはいわば介護保険の基本のサービスの部分である

1) 「上乗せ」は、入居者に満足して頂く事が出来る様にゆったりとサービスを提供する。

2) 「横出し」は、各入居者さんらしさを維持する為のサービスを提供する。有料老人ホームあるいは特定施設では、そういった事ができる様な体制を持つべきであろうし、持てる事が「横出し」サービスをしているという風にいう事ができる。

III ケアハウスと有料老人ホームの違い

1) 特定サービスを提供している「ケアハウス」~
月額の介護報酬の中で全てをやっており、社会福祉法人が運営している施設である為、福祉によるサービスという概念の元で多くのサービスを提供している。
    例)毎日の様に職員付き添いにて、病院受診を行う。その人らしい生活を維持する為に、週2~3回は30分以上の散歩・買い物を行っている。

2) 現在行っているサービスについて一度整理しなおす必要があるのではないか。

3) 横出しサービスの有料化~
ある一定回数を超えるサービス・通常の時間外サービスについて、一時間当たりのサービスの有料化を考える必要もある。

4) 事業者に切り分けを任されると切り違いや切り分けの方法が非常に難しい部分がある。

 

 最後に、事務局長より「それぞれ運営面・介護サービス面での思いは違うかもしれませんが、今回の貴重な情報を今後に役立てていただけたらと願っております。今回、特定協では皆様より様々な依頼を受け、その中でも特に『各施設の状況収集をしてもらいたい』『行政とのパイプ役になってほしい』等の要望がありました。わたくし共も出来る限りそれにお答えしていきたいと考えております。」との話があり、会は終了となりました。

 

 今回は、施設の経営者から現場のスタッフまで幅広い立場の方々にご参加いただき、また、東京会場、大阪会場双方にご参加いただいた方もおられ、非常に意義のある会になったのではないかと思います。3時間という時間は参加者の皆様には短く感じられ、不完全燃焼の方もおられたご様子でした。まとめる・結論を出すというよりも、それぞれが糸口を見つけ検討課題を自社に持ち帰ることが今後につながるのではないでしょうか。 今後も、皆様にとって有意義な時間が持てるような会を開催して参りますので、ぜひご参加ください。