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2010年11月19日

平成22年度 第2回定例研究会(11月19日)を開催しました。

 11月19日臨時総会に引き続き、第2回定例研究会を開催し109法人151名と多数の皆様にご出席いただきました。

 

 今回は、特定施設事業の展開における課題として第1部に「地域包括ケアを念頭においた介護保険事業運営のあり方と地域社会基盤」、第2部に「認知症の人のための生活支援」をテーマに開催致しました。

 

東内京一様

東内京一様

 

 第1部では、厚生労働省老健局総務課課長補佐の東内京一様にご講演いただきました。冒頭に今後の地域社会基盤を作り上げていくためには「地域密着」「集住型の住まい」がキーワードであるとのご説明があり、これまで東内様が取り組んでこられた埼玉県和光市長寿あんしんプランを中心に、地域包括ケアのあり方について、そして特定施設が地域包括ケアにどのように関わっていくことができるのかについてお話いただきました。今後、地域包括ケアを実現するためには、①医療との連携強化②介護サービスの充実強化③予防の推進④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など⑤高齢期になっても住み続けられることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備の取り組みが包括的、継続的に行われることが必須であり、そのためには地域の高齢者の個別のニーズ調査と課題を把握すること、それを介護保険事業計画へ反映させ、課題に応じた支援基盤の構築(質と量をそろえること)することを図り、それらに地域住民等の参加推進をすること、地域包括支援センターを中心に総合相談の中のひとつの機能として高齢者等に対するアドバイスや情報提供(供給量のマッチング)が必要であるとご提言をいただきました。また、必要なサービスの支援、他職種(チームケア)との支援・調整を行う「地域ケア会議」において、「住まいとケアに連結させる役割」として特定協にもその一端を担ってほしいとご期待のお言葉を頂きました。

 

岩尾貢様

岩尾貢様

 

 第2部では、日本認知症グループホーム協会の副代表を務める、社会福祉法人鶴寿会の岩尾貢様にご講演をいただきました。認知症介護をする人々(本人、家族、介護・看護スタッフ、地域等)が、認知症への理解、関わり方、認知症の人の生活支援、ケアマネジメントにポイントを置きお話いただきました。認知症の原因となる病因や症状等についてご説明いただいた後、特に認知症ケアをしていく上で、利用者の問題行動をスタッフが理解すること、寄り添いかかわることが大切で、認知症の症状を問題行動(徘徊や混乱、不潔行為等)としてとらえるのではなく、生活シグナルとしてキャッチし行動の意味を一緒に考えること(共有する)、何を求めているのかを踏まえて支援していくことが重要であると話されました。また、その生活シグナルは支援するスタッフ側の原因(ケアの方法)によるところも多いので注意しなければならないとご教示いただきました。さらに、認知症高齢者の生活支援をしていく上で、ケアマネジメントのツールのひとつとしてセンター方式を用いての認知症ケアのポイントを岩尾様のご経験談(「運転免許証の更新」「暦と共に暮らす高齢者」等)を交えながらお話いただきました。最後に、認知症高齢者の「~したいの実現」を具現化するためには地域資源を活用して、また新たな資源も開発しながら、人と人、人と場、人と地域、生きがい、役割に繋ぐ支援を行い、「生きることを支援する」ことを実践していかなければならない。生きるうえでの尊厳と自己実現が生活支援の視点であると締めくくられました。

 

 今回、お二方の共通意見として「今後の高齢者社会を支えていく上で基盤となるのは地域力(人、もの、お金、制度、情報等々)を活かして支援をしていくこと」であったと思います。地域との関わり、地域への貢献は特定施設においても今後重要であることを考えさせられる講演会となりました。

 

■アンケートでいただいたご意見
(第1部)
・和光市の先端的試みを素晴らしく感じ、市としての包括的支援体制を我が市の現状とは遠く離れたものに思う。
・すばらしい着眼点と実行した行政に感服です。行政と我々事業者がうまく取組めれば良い結果になると感じました。
・行政の方がリーダーシップを発揮して地域づくりをてがけた実践例におどろきました。
・とても具体的事例を題材にしていただいたおかげで自治体の地域ケアに対する考え方への理解がふかまりました。
・高齢社会の将来に少し希望が見えたように思う。
・行政の基本(調査・分析・実施・見直し)をしっかり実践されている好事例だと感じました。全国の地方自治体が同様のきめ細かい行政サービスができるよう全国行政を推進願いたい。
(第2部)
・目からウロコのことが多くあり勉強になった。介護の直接労務者ではないものがどう従業員と一体的にゆくかを改めて考えさせられた。
・認知症という病の奥には孤独感、喪失感が大きく、家庭での優しさを求めてみられることを深く感じます。その方の現状を受け入れ、見守り寄り添うという基本が大切ということの再認識をしました。
・実践に基づいた楽しい口調。非常に興味深く聞かせていただきました。認知症の方を理解する幅が自分自身広がったと思います。
・生きることを支援する考え方を広めたいと思った。
・現場での正しい観察に基づく提起であり日常認知症の方々への対応で苦慮している者にとっては考え方の転換を迫られた内容だった。
・介護は世話ではなく支援という言葉が印象に残った。オーダーメイドの支援に取り組むことの必要性を痛感。

※会員専用ページに、今回の研修会資料を掲載いたしました。