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2016年1月23日

特定施設看護師キャリア研修会を 開催しました

 平成28年1月23日、看護師の方を対象とした「特定施設看護師キャリア研修会~暮らしを支える看護とは~」を福岡会場で開催いたしました。本研修会は過去の開催時に評価が高く、開催要望を多くいただいた内容で、今年度も公益社団法人日本看護協会のご後援をいただき、39法人51名が参加して盛況のうちに終了いたしました。今回の研修会は、看護師として臨床の場で経験を積み、現在はそれぞれのステージで活躍している3名の講師に、午前2つの講演と午後1つの講演・グループディスカッションを行っていただきました。
 公益社団法人日本看護協会 常任理事の齋藤訓子氏 による「特定施設に求められる看護ケアの視点」では、 超高齢化社会を迎える日本の現状と特定施設の看護師 に求められる役割がさらに重要になることをお話しい ただき、日本看護協会による介護の現場で働く看護師 のための取り組み等の心強いお話をいただきました。 参加者からは、「社会の中での看護師の役割の変化に ついて学ぶことができた」「看護協会での取り組み、 今後の展望など、とても有意義でした」「マネジメン ト能力が大事だと改めて感じました。看取りにもどん どん取り組みたいです」等のご意見をいただきました。

 株式会社誠心 代表取締役の吉松泰子氏による「暮 らしの看護」では、老人ホームで行われる暮らしの看護こそが「ナイチンゲールの看護論」の実践の場、講 師自らが入居者様と一緒に過ごすシーンを映像でご紹介いただきながら暮らしの看護の実践を熱く語っていただきました。参加者からは、「人に寄り添う看護が今現在、施設では全く行えていないことに対し、先生 のお話を聞き、本当に理想の形にしていることに感動 しました」「看護としての独自の専門性、考え方、ケアの仕方を学ぶことができました」「熱い想いが伝わりました」等のご意見をいただきました。
 東京都健康長寿医療センター研究所 研究員の伊東 美緒氏による「介護施設で働く看護師の力と他職種と の連携のコツ」では、3K(厳しい、怖い、気が強い) 看護師になっていませんか?という問いかけから始まり、病院とは違う介護施設での看護のあり方を講師自 身の経験を通した説得力のあるお話しをいただきまし た。参加者からは、「自分の中でのもやもやを明確な 言葉で表していただいて安心できました」「看護師の 悩みも分かってくださっている前提で、それでも他職 種と連携できる方向性を示していただきました」「今の自分の仕事の姿を見つめ直す時間でした」等のご意見をいただきました。
 その後のグループディスカッションでは「多職種と の連携、暮らしの看護、介護ケアの視点」等をテーマに意見交換を行っていただきました。テーマに沿って 意見交換し、他の特定施設での看護業務や問題点等の 情報を交換するという貴重な機会として、各グループとも活発な意見交換が行われました。話し合いを行う ことで「他の施設の方と交流を持つことで、仕事のモ チベーションが上がった」「他の方も同じようなことを感じていることが分かって良かった」「もう少し長くディスカッションをしたかった」等のご意見をいただきました。
 アンケートでは、回収した48名中39名(81%)の方が「参加してよかった」との高い評価をいただきました。介護付きホームでの「暮らしを支える看護」につ いて、「暮らしを支えてこそ、人間らしさが出てくる ものだと思う。病気が治癒しても、生活面が低下しないように支えていきたい」「一人ひとりに寄り添い、笑顔や喜びを感じていただけるようご本人の思いを汲み取っていくように取り組んでいきたい」「看護師と して医療処置ばかりを重要視してしまいがちですがホームは、ご入居者の家であり、生活の場であることを あらためて考えさせられました」等のコメントが寄せ られた。また、日頃の看護業務の悩みについて、「往診医との連携が難しく、ご入居者の病気以外の生活内容などをうまく伝えることができない」「具体的にケアの方法を介護職へ伝えても実践できないことがあ る。特に新人教育は課題と感じている」「看護師としての判断を介護職へ伝え、連携することの難しさを感 じる」「看護職と介護職とは視点が違うということを理解してもらうことが難しい」等のご意見があり、現場での“多職種連携”が課題解決の鍵であると感じて おられる方が多いようです。今回のテーマである「暮 らしを支える看護」とは、まさに“多職種連携”が重 要であることを実感していただけた研修であり、日頃のホームでの振り返りと明日からの取り組みにつなが るヒントや意欲をもっていただけた機会となったので はないでしょうか。
 看護師キャリア研修会は公益社団法人日本看護協会にご後援いただき、今年度は東京、福岡で開催し介護 付きホームで従事されているたくさんの看護師の方々にご参加いただきました。今後も開催のご要望をいただいておりますので、さらに内容や運営方法等を工夫 しながら、開催を検討したいと思います。今後も皆様にとってより良い活動となるように取り組んでまいり ますので、ご支援・ご協力をお願い致します。